小田原でニワトリの解体をしたボクの気持ち・気づき
*解体の様子が書かれていると思うので、苦手な方は読むのを控えてください。
4/16,17の二日間、えーちゃんの住む小田原へ。作業の詳細は後述しますが、当日はニワトリの解体からビニールハウスの張り作業まで体験した。
生きている動物が、スーパーに並ぶ姿になるまでの工程を見るのは初めてのことで、多分一生忘れることのないものだと肌で感じた。
まずは、この機会をくださったえーちゃんとMottaiのみなさん、養鶏場のみなさん。そしてニワトリさん、ありがとうございました。
1日目:解体WSを経て感じた「命をいただく」ということ
解体されるニワトリたち
鶏卵用のニワトリ(レイラー)は大体4~5年くらいが寿命。食肉用ではない以上、食べてもお肉が細くて美味しくないという理由から、卵が産めなくなると処分される。
処分にかかる費用は「1円」。多分、この会に参加してなかったら知ることのなかった現実だと思う。
養鶏家の方は、このWSを通じて少しでも食卓の裏側を知ってほしいと言っていた。
案外簡単な解体
解体の流れの説明を聞いて思ったのは、意外とすんなりと終わるんだなということ。クリスマスでよく見かける丸焼きの姿になるまでの所要時間は大体20分くらいで、過程は至ってシンプルだった。
解体の流れ
- 羽交い締め(暴れないようにするため)
- 首を捻って気絶させる(首を切断するときに痛みをなくすため)
- ナイフで首を断つ
- 三角コーンに胴を入れ血抜き
- お湯に潜らせた後、ビニールで蒸す(毛穴を開く)
- 羽を取り除く
個人的に、おもしろい(?)と思ったのは「羽交い締め」。格闘技とかでよく耳にするあの技名も、実はここから来てて、翼を後ろでクロスさせるとトリは本当に動けなくなる。
首を断つ瞬間に訪れた静寂
生きている動物の命を意図していただくのは、魚以外は多分初めて。魚を締める時も若干の抵抗感があったからこそ、正直罪悪感と恐怖心があった。
なるべく痛みを和らげるために、首を捻って気絶させてからナイフで首を切断するのだが、ニワトリも動物。自分の死が近づくことを察知してなのか、動いたり鳴いたりする。場の空気はとてもつもない緊迫感で張り詰めてて、それがあまりにも印象的だった。
”価値観は人それぞれだ”
「価値観は人それぞれだから、どの段階から食材と捉えるかに正解はない。生きている状態から”食材”と捉える人もいる。批判せず、違いさえも楽しもう!」
解体前にNPO法人MOTTAI代表の菅田さんの言葉が今でも頭に残っている。
当日の参加者は、これからバングラデシュに移住するからニワトリの解体方法を知りたい人、焼き鳥屋を経営しているからどうやってお肉になるのか知りたい人etc..それぞれの目的を持っていた。だからこそ、いざみんなで解体!となった時にそれぞれの表情や雰囲気と、自分の抱いていた心情とのギャップにすごく驚いた。
でも、上の言葉があったから、(個人的に)衝撃的なシーンに対して柔軟に捉えることができたと思う。これからも大切にしていきたいし、ぜひみんなにも共有したい。
2日目:”育てる”よりも育てる準備
食肉用のニワトリ(ブロイラー)
2日目にお邪魔した養鶏場の食用ニワトリ(ブロイラー)の大きさには驚いた。前日の鶏卵用のニワトリより2周りは大きく、鳴き声もすごく図太い。
ブロイラーが出荷されるのは大体生後45日ほどで、一般的に「若鶏」と呼ばれてる。4~5年生きるレイラーの成体よりも大きくて、そのために品種改良されたり、かなり過酷な食事を強いられることが多いという。
特にブロイラーに対して批判をするつもりはないし、僕らの生活を担っている大事な職業なので逆に従事されている方たちに対しては感謝の気持ちでいっぱいだ。けど、そういう現実もあると知ると複雑な感情になる。
ビニールハウスの修繕からわかる飼育する厳しさ
当日のメイン作業は、経年劣化したビニールハウスの屋根を修繕する作業だ。約3年ごとにビニール屋根を張り直すらしいが、ちょうどお手伝いの日がそのようだった。
ブロイラーが朝昼晩を認識し、生活リズムを安定させるには日光が必要不可欠である。そのため、木材やコンクリートなどの日光を遮断するような素材は不向きだ。ただ、劣化も早く、飼育する面積も広いビニールハウスの修繕作業は過酷だった。
足場はとても狭く、不安定。とりわけ悪天候であれば、滑りやすく、落ちれば怪我は免れない。10cmあるかないかの足場を慎重に進みながら、重いビニールを手分けして広げてドライバーでとめていく。
正直、養鶏のイメージは餌をあげて、草をモサモサして住処をつくるような作業が全般だと思っていたが、現実はもっと過酷だ。ブロイラーが"育つ"のも、農家さんが"育てる"のも、どちらも命懸けだと痛感した。
感想
消費者目線での食卓と、生産者目線での食卓がこんなにも違うのかと感じさせられた。
「いただきます」の6文字が生まれるまでの過程を、ほんの一部ではあるが体験できたことで、これまでの当たり前を疑うきっかけになったと思う。
ニワトリさんをはじめ、えーちゃん、MOTTAIの皆さん、ありがとうございました。
▽【HP】NPO法人MOTTAI